パニック

パニック障害騒動記 運転中にパニック発作がやってくる!

カッパウロ

ごきげんよう。

カッパウロです。

今回は私がどうしてパニック障害になってしまったのか、どう対処してきたのか、現在はどんな感じなのか、といったところをざっくりお話ししますね。





そいつは突然やってきた

10数年前の話ですが、私は埼玉県の川越市で教材の訪問販売の会社に勤めていました。

ある日のこと、茨城県の最東南端にある神栖市のご家庭に電話でアポが取れたので、デモンストレーション(入試の現状や学習方法の説明をし、いろいろ話し込んで教材を購入してもらう)に向かうことになります。

確かその日はその場で契約が取れずに保留となり、翌日なら決裁権のあるお父さんも一緒に話を聞いてくれるというので再訪問することとなりました。

一度埼玉まで戻るのも面倒なので、泊まることにしました。

ですがお金も無いので(その会社ではガソリン代や電車の運賃、タクシー代、ホテル代等、すべて自腹でした)車中泊です。あまりよく眠れませんでしたね。

 

翌日成約したのかどうかはもう忘れてしまいましたが、疲れと寝不足で帰り道の運転がしんどかったんですね。

国道356号から16号に入ったあたりで、なんだか頭が、気持ちが、「ふわふわ」してきました。

「ふわふわ」なのか「くらくら」なのか、あの感覚を言語化するのはむずかしいのですが。

うーん、眠気とめまいと動悸が同時に襲ってきた感じで、忘我に至る様を形容しての「ふわふわ」です。

 

運転中にそんなふわふわくらくらが急にきて、ハンドルを握る手は震え、手汗も出てきます。

脳内は「デンジャー! デンジャー!」となっています。

何がなんだかわからず、「やばい、やばい、死ぬ、死ぬ、事故る」とパニック状態に陥りました。

その後なんとか停車できるところをみつけ、20分ぐらい休憩して落ち着きます。

落ち着いてからは、「疲れてるんだな~」とか「睡眠不足で知らない道のロングドライブは負担が大きかったんだな」なんて考えて納得していました。

残りの道程はかなりゆっくり、休み休みの運転で無事に帰宅です。

カッパウロ

それが私の初めてのパニック発作体験でした。

 

ゲリラ豪雨サバイバー

数年後、地元(栃木県)の会社で営業部員として働いていた私は、埼玉県の浦和でクライアントと打ち合わせをしていました。

帰りは東北道でびゅーんとひとっ走り(30~40分程度)なのですが、客先を出るとすぐに豪雨となりました。

すさまじい降りです。ゲリラ豪雨ってやつですね。かなり視界が厳しいです。

それでも、「高速に乗っちまえば一本道だし大丈夫だろ~」とナメてかかっていたからさあ大変。

浦和ICのETCゲートを通過すると、そこはもはや湖! …っどぼぼーん!

大きな水しぶきを上げ、さながらアマゾンくだりスプラッシュマウンテンといったところ。

冠水していて車線も何も見えない状態!

止まったら最後、マフラーに水が入ってきて停車してしまうかも!

とりあえずハザードランプ点けよう、あ、みんなハザード点けてる。

…つか、降りがますます激しくなってませんコレ?

おおおおお? ワイパー効いてないじゃん! 全っ然見えないじゃん!

こんなんじゃ運転できねえっスよ! でも止まったら終わりっスよー!

…で、パニック突入です。

 

またしても出てくる言葉は「やばい、やばい、死ぬ、死ぬ、事故る」です。

ですが脳と心の奥底か端っこにかすかに残っていた私の冷静な部分が、生き残りを賭けて行動を起こします。

パワーウインドウ作動! 窓、全開ぃぃ!

ワイパーがまったく効かず視界がゼロなので、「ならば直に目視だ!」と窓から顔を出して進みます!

「どんな罰ゲームだよコレ」なんてつぶやきながらも、やるしかないのでやりましたよ。

「なんとかこの場をしのいで、すぐ岩槻ICだから降りちゃおう」と決めて頑張ります。

走行の目印は前の車のハザードランプだけ。

車間距離が開きすぎるとそれすら見えなくなってしまうのでいけない。

ズブ濡れだが仕方ない。生きて帰るぞ、と。

集中、集中、前の車のハザードを捉えろ! それだけに集中! 集中を切らすな!

集中、集中、やばやば死ぬ死ぬとにかく集中、集中、集中…

うおぅ!岩槻インター見逃した!

 

あまりの視界の悪さと先行車のハザードランプへの執着で、インター出口をスルーしてしまうという悲劇。

「ゲリラ豪雨ハイウェイの旅は終わらない! 続きは劇場で!」と『仮面ライダーディケイド』最終回の結末みたいに動揺しながらも蓮田サービスエリアを目指すことに。

 

そこからは永かった。神経がすり減り、消耗しすぎておそらく寿命が縮んでますね。

永い戦いの末、私はついに蓮田SAへと辿り着きます。

今度はSA入口の分岐を見逃しません!

もう命懸けですから。血まなこですよ。

ですが蓮田SA(下り)入口は若干の上り坂! 上から水が流れてきている! もはや川!

鯉の滝登りの心意気で川の流れに逆らい、なんとか、本当にやっとの思いでSAに駐車できました。

坂の上なので冠水もしておらず、もう安心です。

戦いを終えた安堵で頭の中に映画『トップガン』の帰艦時BGM、アンセムが流れる始末。

どっと疲れて、気付いたらまだ手が震えていましたね。

 

1時間ほどそこで休憩し、雨がやんでから運転再開しました。

カッパウロ

「あのときと同じ感じだ」と、数年前の運転中のパニック発作を思い出しましたね。

 

不定期、準レギュラー

しかしその後、この運転中のパニック症状がちょこちょこと現れるようになってきます。

ある条件下でそれは顕著になっていきます。

高速道路、高架橋、トンネル、大きな橋。

そういった逃げ場が無い(止まれない)感じの道で発作が出るのです。

心拍数が上がる、ドキドキバクバクする。わけのわからない焦燥感。

手が震え、汗をかき、ハンドルを握る手がおぼつかない。

視線を定められない。落ち着いて運転できない。

ひどいときはもう気が狂いそうになってくる。急ハンドル切りたいような衝動に駆られる。

トンネル内だと催眠にかかったかのように、SFの超光速航法(ワープとか)に入ったかのように意識がふわっと飛びそうになる。

 

何度か高速道路の路肩に停車することもありました。

シート倒して深呼吸です。

だいたい20分ぐらいで落ち着いて運転再開できましたかね。

この症状が頻発するようになり、徐々に高速道路に恐怖を感じ始めます。

トンネルや大きな橋にも明らかな苦手意識が出てきました。

 

そんな折、どうしても逃げられない急な用事が発生し、車で神戸まで行くことになります。

同乗者と交代しての運転でしたが、ちょうど私が運転しているところで中央道の恵那山トンネルがありまして、撃沈です。

だってこのトンネル、8.5kmもあるんですよ! 全国屈指の長さですよ。

もうホント、気が狂いそうでした。

同乗者には、「会話してくれ! 途切れずに会話してくれ!」「しりとりしてくれ! いくよ! しりとり、り! り!」などと、急に無茶振りしてしまい、大変ご迷惑をおかけしました。

生きて帰れたものの、その日以降、パニックが頻発します。

 

苦手な条件に合致する道だと、高確率でパニックが発生する状態になってしまいました。

毎回じゃないけど結構な確率。

テレビ番組の出演者に置き換えると、準レギュラーといったところです。

「よく出るよね~」「また出た~」てな具合です。

その結果、ついに高速道路、トンネルを完全に避けるようになってしまいました。

 

あとで知ることになりますが、パニック障害による「予期不安」「広場恐怖」というやつです。

「またあのパニック症状が出るんじゃないか」「運転中に自分が保てなくなって重大な事故を起こしてしまうのではないか」と怖くなってしまうのです。

カッパウロ

不安が強いので、「高速? トンネル? ダメダメ無理無理、やめときます!」となってしまいます。

 

投薬&放置

このころインターネットで自分の症状を調べてみました。

どうやら「パニック障害」みたいだな、と。

 

一応今後のために医者にかかったほうがいいだろうとメンタルクリニックに行ってみます。

初めてだし、いろいろ話を聞いてみようと思っていたのですが、ことのほかあっさりと診察終了です。

「はいはいじゃあ薬出しますからねー」って終わってしまいました。

抗不安薬、俗に言う精神安定剤を処方されました。

パニック発作時にその不安を抑える薬と、予期不安用の効きの長いタイプの2種類です。

当面それでしのいでいくことになりますが、私の場合、根本的な解決にはなりませんでした。

 

結局薬はお守りにはなりましたが、不安、恐怖を克服するには至りません。

カッパウロ

医者にもそれ以降通わず、高速道路やトンネルに対する苦手意識は残ったまま放置してしまいました。

 

こいつぁ効くぜ!

日常生活では高速道路を使わずにいればパニックに陥ることはほぼ無いので、もう放っておいたんですね。

トンネルにしても、私がパニックを起こすのは出口が見えないくらい長いやつなので。

通るのに慣れていて、出口が見えているようなトンネルであれば、「嫌だなあ」とは思うものの普通に通過できましたし。

それで特に問題も無かったわけです。

 

そんな暮らしの中、私は会社でのストレスで適応障害となり、ついにはうつ病で休職することになります。

今度は別のメンタルクリニックに行きました。

よく話を聞いてくれる先生で、自分には合っているなあと思いましたね。

うつ病の治療で抗うつ剤を使うことになりました。

抗うつ剤はパニック障害の治療にも使われます。

うつの治療の過程でパニック障害にも効いてくれるのか、とちょっと得した感じですね。

 

そのとき処方されたパキシルでえらい目にあったことは別の記事で改めて書きますが、結果的に抗うつ剤によってパニック障害の不安感は激減しました。

いつもうっすら怖かった渡良瀬川や利根川の大きな橋も、国道のバイパスの高架橋も、徐々に大丈夫になってきたのですよ。

 

最初のうちは「お、抗うつ剤が効いているのかね~」なんて思ってました。

でも、こういったときの「今日、大丈夫だったぞ!」「全然怖くなかったぞ!」「アレ? 良くなってきてるんじゃね?」といった成功体験的なものが、不安を克服するいい自信になるのです。

それで苦手なルートにも挑戦できるようにもなっていきます。

自ら高架橋や大きめの橋に「いくぞオラァ!」と勝負を挑めるようにもなりました。

カッパウロ

抗うつ剤のおかげで少しずつ不安はやわらいできましたよ。

 

習うより慣れろ!

現在は気力充実、不安に立ち向かう勇気がある状態なので、認知行動療法曝露療法といった精神療法の考えに基づいて、客観的に発作のメカニズムを知り、不安にあえて慣れていく、というスタンスでやっています。

抗うつ剤はもう飲んでいないので、あとは行動で治していくだけです。

橋のたぐいは概ね大丈夫になってきたので、ぼちぼちトンネルや高速道路にもトライしていこうかな、と思っています。

 

んー、でもひとりじゃまだまずいかな。

ひとまずは家族と一緒に、ですかね~。

カッパウロ

私のパニック障害、現在こんなところなんです。





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