ごきげんよう!
カッパウロです。
いよいよ一応の最終回。うつ体験記の第4回です。
療養生活の後半、そしてうつ再発予防ですね。
よろしくな。シュッ!
書を捨てよ山へ出よう
もともと自分が持っている神経伝達物質であるセロトニン、それがうまく機能していないことがうつ病の一因だといわれます。
じゃあそのセロトニンを増やすには?
というといろいろあるんでしょうけれど、よくいわれるのが「日光を浴びる」「一定のリズムの運動をする」ことです。
テキトーなやる気でこれをクリアできることといえば、「散歩」ですね。
ちょっぴりやる気が出てきた私、よし、歩きますか!
とはいえなんだか人に見られたり会ったりするのヤだなあ。
ここ思いっきり住宅地だし。
「あそこのカッパ、仕事にも行かず毎日ふらふら歩いてるけど…」とか思われちゃうのもなあ。
ということで、ちょいと車で10分ほど移動して、山を歩くことにしました。
具体的には東北自動車道佐野藤岡ICの東側、栃木県営の「みかも山公園」です。
山とはいえガキの頃からカブトムシ&クワガタ獲り、きのこやせりを採りに勤しんだ馴染みの場所です。
知らない間に整備されていて、今では立派な県営公園になっています。
中腹に子どもの遊び場があるので、最近は子どもとよく行っていました。
ここなら知り合いにも会わないだろうし、緑の中で森林浴的な爽やかさも得られそうです。
さらにもともと特撮好きである私、山で鍛えて山で戦う『仮面ライダー響鬼』のヒビキさんに憧れているのですよ♪
私ゃただ歩くだけですけどね。
でも「山ごもり」のシチュエーションで、そんな妄想設定で、心も躍っていい感じです。
だいたい1日2時間ぐらい歩いていましたかね、いろんなルートで。
週に2、3日は行ってたかなあ。
山を歩いた日は必然的にご飯がおいしくなるのでそれも良かったですね。
食べる喜び、復活! ですね。
6月からお盆くらいまでこの山歩きをやっていました。
8月にそこでスズメバチ軍団に出会い、あっさり行かなくなりました。
その後はより元気になってきたので、みかも山にあるスポーツジム「みかもリフレッシュセンター」へ、ない金を工面してちょこちょこと運動しに行ったりしてましたね。
積極的に体を動かせるようになりました!
カネじゃカネ! わかっておろう大黒屋! わしの休養にはカネが必要じゃ!
そういえば、「療養生活中、生活費はどうなのよ」というところなんですが、金策としては、「健康保険の傷病手当金」「精神通院医療費の公費負担」という公的な制度をありがたく利用させていただきました。
傷病手当金は、会社員や公務員が利用できる制度で、勤務先のお給料を日割計算した額(標準報酬日額)の3分の2が支給されます。
MAX1年半いただけます。
だから勤務先を辞めるかどうか悩んでいる人は、療養中は休職扱いにして、退職するのは保留にしておいてもいいんじゃないでしょうか。
よくなってきてから辞めるか復帰するか判断すればよいのですよ。
それから精神通院医療費の公費負担ですが、これは「自立支援医療」といって、保険診療の3割負担が1割負担になってくれます。
おトク!
って得ってわけじゃないですね、そもそも。
まあ通院1回ではヘコむような出費にはならない治療費やお薬代ですが、うつ治療が長期戦になるとすごい額になってきてしまいます。
その負担が1割に和らぐのですから、利用した方がいいですよね。
こちらはお住まいの地域の役所の福祉課で確認できますよ。
我が家ではそれに加えて、ケメ子がパートに出て家計を支えてくれていました。
さらになんと齢78の母も知人のつてでアルバイトしていたり、パチンコが上手なのでちょこちょこ勝ってきては食費を投下してくれたりと大活躍してくれました。
なんというアクティブシニア!
ありがとうマザー!
あなたにはいくつになってもかないませんね。
…てなワケで、本当に家族に感謝です。
あとは多少元気になり、スマホやPCでウェブサイト見てても大丈夫なぐらいになってからは、ポイントサイトやアンケートサイトにいくつか登録して、暇なときにポチポチとポイントを貯めて稼ぐということを憶えました。
やってみたら換金ベースで月に3万円強になったのでおどろきましたよ。
地味な作業なんですけどね。
これにはホント助かりました。
ポイントサイトなどおこづかい稼ぎ、副収入に関しては後で別の記事にまとめていきますね。
変わってゆく私…!
ずいぶんと活動的にもなったところで、外出する機会も多くなりました。
子どもとプールに行ったり、習い事の送り迎えをしたり、学校や幼稚園の行事に顔を出したり…。
家事もできるところは率先してやるように心がけ、中途半端な主夫、中途半端なイクメンてな具合です。
ああ、使っておいてなんですが、「イクメン」って言葉は正直好きじゃないですね~。
立場、状況からして私ゃあたりまえに子ども見てなくちゃいけないんだから。
義務でしょ。
毎日苦闘しているシングルパパに向かって、「イクメンですねー」なんて気軽に言えないし。
…まあいいや。
それにしても、家事育児とは大変なんですなあ。
実・感です!
世のママさん(パパさんも)、ホントにタフだしすごいですね。頭が下がります。
投げ出せないし逃げ出せないですもんね、家事育児。
そりゃたまにはひとりでゆっくりできる時間とかないとダメですよね。
さて、おつかいを頼まれるのでよく買い物に行くようになりましたが、そこで気づいたことがあります。
うつ状態の時の私は、車の運転中、ささいなことでイライラしていたということです。
それから買い物などでもイライラしてました。
スーパーで、「ここが早いかな」と並んだレジの列がすごく進み遅くて隣の列に抜かれることとか。
コンビニもですね。
例を挙げるとこんな場面。
- 店入ってガラガラで、ちょっと立ち読みしてからいざレジに行くとなんか急に混んでいる。
- 前の人が公共料金の支払いとかホットスナック類を注文とかで時間かかる。
- レジ前に来ているのに品出し中の店員がまるで気付いてくれていない。
- 店員がなじみの客とレジカウンターで談笑しているので気が引けてレジ前に行けない。
- 普通にレシート渡してくれない店員。
- 2番レジ解放やレジ応援のタイミングが遅すぎる。
などなど…。
こういう場面って誰にでもよくあることなんだけど、心に余裕がなかったのでイライラしてましたね。
冷静に日々を観察すれば、スムーズにお会計を終えることの方が多いのに、その記憶が残らずに、嫌なことばかり突出して気になって、記憶に刷り込まれてしまうんですよ。
で、「いつもこうなんだよな~」と愚痴っちゃったり。
そうなっていた自分に気付いたので、今はなるべくイライラしないようにしています。
最近では心得たもので、なにかにつけちょっとでもイラっときたら、「きたね!イラっときましたね!でもここで怒らないのが今の私~! 心の余裕ってやつですか!? これくらいでイライラするような小さい人間じゃないもんねー!」などとやり過ごします。
もちろん心の中でですよ。
それにしてもホントにもう、つまらんことで心を乱していたのだなあ、と。
え? 更年期じゃないかって? …それもあるかもしれないですが。
生活習慣で気をつけること
あと日常で気を付けていたことですが、多少楽になってから、能動的に活動可能になってからは次のことを念頭において暮らしていました。
朝日を浴びる
セロトニン対策ですね。
朝、しっかり日光を取り込むことで体内時計も調整されるようですし。
夜更かししない
前項とセットですね。
早めに床について、朝ぱっちり目覚めると。
睡眠不足は心身の不調を起こすトリガーですので。
極力寝不足は回避です。
禁酒
抗うつ剤を服用している以上、仕方ないですね。
なかには血中の抗うつ剤成分と血中アルコール濃度それぞれのピークをずらして、影響を最小限にして酒を飲むという人もいるみたいですが、私はやりませんでした。
医者の言うことを聞きます。
もうあんなことにはなりたくないので…。
インターネットは控えめに
あんまり調べものとかもしない方がいいんじゃないですかね。
悲しいニュースや残酷な事件が目に入って、必要以上に落ち込んだりします。
うつ病について調べるならお医者さんに聞くのが一番じゃないでしょうか。
ネットも書籍もうつ病関連で出てくるものは良いものも確かにあるんですが、エビデンス、根拠のない民間療法的なもの、半分スピリチュアル入っちゃってるようなものとかもあって玉石混交です。
気を付けましょう。
交通機関のご利用はほどほどに
私はパニック障害もあったので、「逃げられない場所」がダメだったというのがあります。
旅行もバスや飛行機は怖くてあきらめていましたね。
不安を感じそうなところには行かない、不安になりそうな移動手段は使わない、ということです。
「生活リズムを崩さない」「イレギュラーなことを避ける」ですね。
「現実(うつ)対 虚構(ゴジラ)」
映画館は行っても問題ないのかわからなかったのですが、行っちゃいました。
2016年の夏です。
私ゃ特ヲタですから、『シン・ゴジラ』はもう絶対観たいわけですよ。
『ゴジラ FINAL WARS』以来12年も待ってた国産東宝ゴジラですから。
封切時にはまだうつ状況下でしたが、あんまりないやる気を振り絞って、「これだけは行くんだ」とシネコンへ乗り込みました。
でも思わぬところでダメでしたね。
あの序盤の東京湾アクアラインのシーン、前田敦子がちょろっと映る辺りのPOV映像(「Point of View Shot」の略で、手持ちカメラで撮った手ブレありの主観映像)で気持ち悪くなっちゃって、虫の息です。
それだけじゃないのかもしれません。
閉鎖空間、大音量、人混み…そういう要素は間違いなくマイナスな気がします。
精神的負担を感じます。
いろいろしんどいですね。
ひさびさに自分と戦っての2時間でした。
吐きそうになっていました。
スゲー疲れましたね。
「劇場から出ちゃえばいいじゃん!」とツッコミが入りそうですが、そこはオタクの性で、観ると言ったら観るんです。
絶対に負けられない戦いが、そこにはあるのですよ!
なんとかなりましたが、集中して作品を堪能できたわけではないので、「ダメだ、もう一回行こう!」となります。
さすがにひとりじゃ心許ないので、助っ人登場です。
特ヲタ仲間である市役所職員コリンタくんともう一回行きました。
これが功を奏したのか、今度は平気です。
頼れる友がいるという安心感ですかね~。
POV映像シーンが来るところもわかっていましたし。
観終わった後はいいおっさん2人、コメダ珈琲店でケーキ食べながら特撮トークです。
「好きなことをおしゃべりするよろこび」が戻ってきてくれてうれしかったのを憶えています。
それからしばらくして冬になった頃、ひとりで『この世界の片隅に』を観て(感激してもう一回観に行った)、年明けにまたひとりで『劇場版 動物戦隊ジュウオウジャーVSニンニンジャー 未来からのメッセージ from スーパー戦隊』(しかしタイトル長えな)を観に行ってみました。
この頃になると自分自身かなり元気になっていたので、映画館も大丈夫になっていましたね。
まあ経験上思うのは、うつの自覚があるときは、行かないでいいのなら映画は行くべきじゃないってことです。
大変疲れます。
あ、娘と『映画 魔法つかいプリキュア! 奇跡の変身!キュアモフルン!』にも行った!
STAND BY ME うつ
年も明け、2017年になるとほとんど元気な状態になりました。
正確にはよくなってきてはドンと落ち、よくなってきてはたまにドンと落ちるのを繰り返して、ゆっくり階段を上るように、ですけど。
「完治」という言葉を使わないことからも、うつはスカッと治るものではありません。
ときどき顔を出してきます。
いつもそばにいて、私の心の隙にまたいつか現れるでしょうね。
私自身、これからもうつとの付き合いは続いていくんだと思っています。
付き合っていく以上、上手に付き合っていこうというのがここからのテーマですね。
奴がまた来ても、野放しにせず屈服せず、酔っ払い相手に軽くたしなめる小料理屋のママのように、うまいことやっていきたいのですよ。
そこで、ある程度よくなってきてからのうつ病再発防止対策が必要となってきます。
うつ病の治療というのは基本的に、1に休養、2に薬物療法、3に精神療法という流れ、組み合わせでやっていくのですが、よくなってきての終盤、仕上げ的に大切なのは精神療法、心理療法の部分でしょう。
お医者さんやカウンセラーさんとやることですので詳細は記しませんが、認知の歪みを直して、行動を変えていこうという「認知行動療法」が主流なんじゃないですかね。
考え方、捉え方を変えて、生きづらさを軽減!
カッパウロ流
ここからはあくまでカッパウロ流ではありますが、私は先述の「イライラする~」のくだりのような、「○○してしまう自分に気付く」→「○○しないために布石を打つ」をいろいろとやってみたりしました。
これはイライラだけじゃなくストレス全般に対して有効で、ストレスに対処する行動をすぐにとって、ストレスを適切にコントロールしてしまうというテクニックです。
一般には「ストレス・コーピング(coping)」と呼ばれている技術ですね。
うつ病の方だけではなく、万人におすすめできるものですね。
その他いろいろありますが、こればっかりは個人で考え方やものごとの捉え方を意識して変えていくしかありません。
なんにせよ「完璧主義」や「白黒はっきりつけたがる性格」はうつを呼び込みやすいでしょうから、その辺はゆるーくしていった方がいいですね。
世の中白黒つけられないことの方が多いんですから。
自分自身の人間性を見ても、「一点の汚れもない純白」か「ドス黒い闇」かの二択にはなりませんよね。
誰しもグレーな部分を持っている。
グレーであっていいんです。
何事もそうです。
決め付けようとせず、「こうしなくては」「こうあらねば」というのを緩めて、いいかげん、適当、気楽、そんなエッセンスを足すといいかもしれません。
はい次。
「うつ」をキャラクター化して、対話してみる。
これはちょっとふざけたやり方かもしれませんが、うつとの付き合いが続く以上、有効かと。
仮にわかりやすく「うつ」を「うっちゃん」と名付けてみますと、こうなります。
私「ああ、うっちゃん…来たのね。なんかそんな気してたよ。」
うっちゃん「…」
私「2、3日は付き合ってあげるけど、そしたらまた旅に出てってね」
うっちゃん「…」
私「まあいいよ、わかった。今日はゆっくりしていきなよ。 でもうっちゃん、ホントMAX3日ね! たのむよ!」
…という具合です。
ヘタな寸劇ですが。
やっかいな腐れ縁の旧友みたいなノリがいいんじゃないですかね。
参考としては『男はつらいよ』シリーズで寅さんが柴又に帰ってきたときのおいちゃんやタコ社長のリアクションかな?
ちょっと違うか。
雰囲気は違うけど、『Go!プリンセスプリキュア』最終回でのキュアフローラ(夢を守るプリキュア)とクローズ(絶望の化身)の関係はどうですかね。
…いやコレがまさにうつ病経験者とうつの関係!
沈静化はしたけど、またいつか顔を出してくるであろう「絶望」に対して「ごきげんよう」と見送る最終回なんです!
我々もうつに対して「ごきげんよう」と言える心の余裕というか、懐の深さを持たないといけませんね。
さてさて、元気になったらメンタルヘルス、メンタルケアの本なりウェブサイトなりでいろいろと心の整え方やストレスの対処法などを吸収するのもよいでしょう。
「マインドフルネス」「コーピング」「アファメーション」辺りはおすすめですね。
似たような語感ですが、間違えて「マインドコントロール」「ダウジング」「アセンション」とかの記事を読み込んじゃダメですよ!
そっちはオカルト系のトンデモさんの世界に行っちゃいますので。
今後ぶっ壊れないために、武器と盾を持とう!
お付き合いいただきありがとうございます
休んで丸1年、2017年のGW明けに職場復帰しました。
当初は辞めようと思っていたのですが、先輩、同僚、取引先さんのラブコールに負けてしまいました。
以前とは別の部署にしてもらい、のんびりやっています。
ですが以前と変わらずストレスメイカーはそこにいるわけですので、再発率は高いんじゃないかと…。
次、ヤバくなったらもう、即、辞めますわ。
軽いな! 軽いです!
うんうん、健康一番!
自分の人生を大切にしたいですからね。
うつ病になったことで、見えていなかったことが見えたり、気付いたり、いいこともたくさんあったように思います。
宇宙飛行士が宇宙から帰還すると、人が変わったようにラブ&ピースになるという例があるそうですが、うつ病経験者の中にも、うつ病を機に人生にいい意味を見つけたり、好転させたりしている人が大勢いるのです。
もしかしたら「馬車馬」「歯車」「捨て駒」…そんな形容の人生を見直すためにうつ病が我々を導いてくれているのかもしれませんね。
…そりゃ言い過ぎか。
でも私もおかげでこんなにも家族に感謝の念が生まれましたし、好きなことでよろこべる、食事を楽しめるといったあたりまえにそこにあった幸せを再認識できました。
そしてなにより、いろいろなことに縛られていたり無理をしていた自分に会えた。
それが大きいのです。
自分は本当はどうしたいのだろう、どう生きたいのだろう、どう生きれば自分は満足するのだろう、そんなことをゆっくりじっくり立ち止まって考えられたのですから。
そういった疑問に正しい答なんかないのですが、せめて、自分を許して、自分を愛して、自分を楽しませていこう、そう強く思っている今日この頃です。
これでうつ病体験記は一応の完結です。
今もごくごくたまに顔を出してくるうっちゃんとやりあってますけどね。
対処の仕方がわかれば、もうそんなに怖くないですよ。
ここに書ききれなかったうつ関連の事柄は改めて記事にしていきますね。